着物に絵を描きたい!

今現在、タンスに眠ったままの着物が溢れており、終活や遺産整理等でそれら着物の扱いに困っている方は日本中にいらっしゃると思います。

世代が若くなるにつれ着物の所有率は減少するものの、高齢者とくに70代以降の方たちは未だに着物を保持しているように見受けられます。

リサイクルショップや買取センターへ持ち込んでも着物は二束三文。有名な作家ものであればある程度値がつきますが、それ以外のものは買取すらしてもらえないこともあります。

買取事情に関しては以下の記事で書いているので参考になさって下さい。

 

着物を捨てずに活用する!となればすぐに思いつくのがリメイク。洋服やバッグにリメイクされる方が非常に多いですよね?

個人的にソーイングが得意ではないので、別の方法を模索して誕生したのがアート作品の制作です。

私と同じようにソーイングが苦手だという方にとってみたら、着物という大きな布を使ったリメイク方法には頭を悩ませるものです。

先ほども話したとおり、私はアートという創作マテリアルとして活用しています。そして同じように考える方もいらっしゃるのではないかな?と思います。

 

アートというと連想されるのが圧倒的に「絵」です。

着物に絵を描いてみたらどうだろう?と考えてみたことはありませんか?

画材を選べば思いのほか簡単に絵が描けるので、これまで幾度となく着物をキャンバスにしてきた中で気づいたことをお伝えしたいと思います。

 

着物に適した絵の具

着物は布です。まずは布用の絵の具で描くことを思いつくかと思います。

布用の絵の具ももちろん良いのですが、色の数が少なかったり価格が少し高かめだったりします。

単発で描くには良いかも知れませんね。ただ、継続的に絵を描いていくことを考えたら、もっと色数が多くコストパフォーマンスも良い絵の具をチョイスした方が良さそうです。

ちなみに、、

色数が少ない場合、絵の具を混ぜ合わせることを考えると思いますが、色を混ぜれば混ぜるほど暗くなります。

そのようなイメージで仕上げるにはそれでも良いのですが、明るいイメージで仕上げたい場合は極力混ぜずに描いていく方がストレスが少なくて済みます。

 

ここでオススメなのがアクリル絵具。

アクリル絵具の特徴は

・とにかく扱いやすい
・水で溶いて使うので、水彩絵の具と同じような感覚で描ける
・色が透けないので重ね塗りに向いている(※水の量にもよる)
・乾燥が比較的早く、乾いたら丈夫になる(耐水性)
・描けるものが多い(※つるつるしたものや油性のものは不向き)
・においがあまりない
・比較的安い

 

デメリットは

・乾いた後は混色できない
・乾いたら硬くなるので、布っぽい柔らかさがなくなる
・何度か混色をする場合、同じ色味を再現するのが難しい
・水を多く使った場合、乾いたら色が違って見える(乾くと薄く見える)
・水彩絵の具より高いものが多い

 

 

私はアムステルダムのアクリル絵具を使用しています。これを使う理由は、近所の画材屋さんが一番多く取りそろえているからです。

特別な絵の具を自分のスタンダードな画材と決めてしまうと、遠方まで買いに行くコストや労力が上乗せされるので、継続することに障害が多くなってしまいます。

オンラインショップで購入することもできますが、やはり直接目で色を確かめたいし、結局は送料もかかるので、自分にとってデメリットの少ない方法を選びます。

もちろん描いた具合の感覚や感触は大事なので一概に言えませんが、私はこのアムステルダムのアクリル絵具でも全く問題なく使えています。

初めて着物に絵を描く方は100円ショップのアクリル絵具で試してみるのも良いですね。ただ色によってはオイルのような液体が多く、にじみやすかったりするので要注意。

 

アムステルダムのアクリル絵具一辺倒でしたが、最近はこちらも使用しています。

マイメリのアクリル絵具。比較的乾燥が早く色鮮やかなので個人的に好きです。

 

アクリル絵具を水彩絵の具のようにたっぷりの水で溶くとかなり色を薄くして描けます。ただ布に描く場合は滲みやすく、乾いた後の色もかなり薄く見えます。

紫部分が水を多く含んだところ。着物地が良く見えます。緑は少しの水で描いた。

水の量はご自身のお好みで適量を見つけ出して下さい。

 

比較的安価で買えるその他の画材

アムステルダムやマイメリなどプロの絵描きさんがよく使うアクリル絵具以外にも使える画材はあります。

 

フラッグカラー

フラッグカラーは、その名の通りフラッグに描くときに使うもの。当然布に最適な画材でもあります。

ただフラッグは目立たなければいけないので、かなりビビッドな色であったり、↑のように蛍光色が多い印象です。そういった画風であればこちらもオススメです。

こちらはアクリル絵具よりもかなり柔らかいので水で溶かなくても筆で描画できます。もちろん水で薄めて使うことも可能です。

 

スクールガッシュ

スクールガッシュも柔らかめのアクリル絵具です。

水で溶いても良いし溶かなくても良いし。画風によって決めたら良いかな?と思います。

 

が、、、

原液のままで使った場合、乾いた後のべたつき感が気になることがあります。

毎回ではないですが、そのようなことが多々見受けられるので、スクールガッシュを使う場合は少し水で溶いて使用するのが良いかも知れません。

 

イベントカラー

こちらもフラッグカラーと同じくアクリル絵具よりさらさらしていて柔らかい。

パッケージに描いてあるとおり、そのまま描けます。

イベントカラーで絵を描いたときに不都合さを感じたことはないので、こちらもオススメできるかな、と思います。

 

工作ポスターカラー

こちらは少し硬めの印象。水で薄めて使うのが必須のような気がします。

原液に近いまま使うと乾いた後ひび割れが生じやすいので注意。

ひび割れを起こしたもの(黄緑部分)

ひび割れてしまったものも「味」として受け入れられれば使っても良いかな?と。

ただし、作品は額装するなどした方がより安心だと感じます。

 

着物にアクリル絵具で描くときの注意点

着物は衣服なので布です。そのまま描くにはよれて描きにくいです。

着物を解いて描く場合は、裏に裏打ちをすると描きやすくなります。

裏打ちに関しては以下の記事をご参考に。。

 

着物を解いて絵を描く場合もそのまま描く場合も、できれば着物は洗っておきたいものです。

クリーニングに出したまま保管されていたら「大丈夫だろう」と思いがちです。

が、着物は絹でできています。つまり動物性タンパク質でできています。

目に見えていないだけで虫やカビなど望まないものが付着している可能性があります。

そうなると作品としての保ちが悪くなってしまいます。絵を描く前に一度きれいにしリセットした状態にしましょう。

解いて描く場合、必要サイズにカットして描くことが多いと思うので、額装すればより作品の保ちは良くなります。

 

着物を解かずに描く場合は、丸洗いをしてから描くことをオススメします。そして描いた作品はしっかり乾燥させます。

この目的で描く方は作品として展示されることがあるかと思います。

展示後は、外気をシャットダウンできる収納ボックスに入れ保管します。もちろん除湿剤を入れて。私はお茶箱に入れて保管しています。

アクリルで描くと着物が着物ではないような硬さが出るので、折りたたんでしまう場合は余程気をつけないと折りじわができてしまいます。

 

着物にアクリル絵具で絵を描くときに使う道具

着物に絵を描くときにアクリル絵具を使うとお話ししました。

参考までにどんなものを使ってアクリル絵具を着物生地に乗せているのかをご紹介します。

筆や刷毛

ペインティングナイフ、ヘラ

これらの説明は不要かと思います。ご自分が使いやすいもの、画風にあったものをお選び下さい。

 

アクリル絵具以外で使える画材

アクリル絵具以外でも使える画材はたくさんあります。

naomariaは小学校で子どもたちに着物に絵を描いてもらっていますが、そこで「使えるな!」と思ったものをご紹介します。

 

油性ペン

油性ペン。これはもう間違いなし!!!です。

ペン画がお得意な人にはオススメなツールです。

 

クーピー

クーピーでも布に絵を描くことができます。

色は薄く見えてますが、小さなお子様が絵を描くにはハードルがとても低いんじゃないかな?と思います。

着物に絵を描くのは何も大人だけではないはず。

お子様にもこのような貴重な経験をさせてあげたい!と言う方は是非クーピーを採用してみて!

 

クレヨン

クーピーと同様、とても扱いやすいクレヨン。発色もクーピーより遙かに良いです。

が、画材の定着が弱いので、擦れやすく他への色移りがしやすいのが難点。

額装する前提であればクレヨンはかなり使える画材だと感じます。

 

まとめ

これまで着物に絵を描く場合に使える画材をご紹介してきました。

簡単にまとめると

・アクリル絵具は扱いやすく色数豊富なので一番オススメ
・その他の絵具も使えるものが多く、アクリル絵具の代用が利く
・油性ペン、クーピー、クレヨンも目的や完成スタイルによっては使える
また着物に絵を描く場合の注意点などは
・描く前に一度洗う
・着物を解いて描く場合は裏打ちする

 

これらはあくまでnaomariaが実際に着物に絵を描き続けた中で感じたことや学んだことです。

皆さんそれぞれどのような目的でどのような絵を描きたいかという状況は異なります。全てそのままお役に立つかどうか分かりませんし、全てやってください、とも言いません。

あくまで参考程度に知識として頭に入れて頂き、実際にチャレンジしながらご自身のベストを見出して頂ければな、と思います。

 

naomariaがこれまで描いてきた作品を見て、「自分ならこう描きたいな」など具体的にイメージを膨らませて頂ければ嬉しいです。