「一枚でも多くの着物を救う」想い

私naomariaは眠ったままの着物を使って作品を制作しています。
それは、2015年に遡ります。

単純に着物の持つ粋で斬新で美しい図柄しなやかな質感に惚れ込んだことが、中古着物を活用するきっかけに。

着物を使った制作活動を続けるうちに知る熟練された繊細な職人たちの技に惚れ込み、同時にリサイクル着物とその業界の実情に胸が痛み始めました。

着物リサイクル=着物リメイク=洋服、バッグ

このような単純構造では、捨てられる着物は減らないだろう、という絶望的な予測しかつかず
「何か私にできることはないか?」という強い想いが込み上がりました。(裁縫が得意ではない、ということも考えるきっかけではあったけれど 笑)

 

アートという全く違う切り口で古着着物を再活用

オリジナルスタイルの着物を使ったアート

 

処分対象の着物を使い作品を制作する

これが「私のやり方でできること」。そう強く確信し今に至ります。

 

開催する個展では、リサイクル着物を使ったあらゆるクリエーションを発表し、新たな視点や価値観を観る方にお伝えする試みをしています。

トランクや布箱も制作・展示

実際、来場下さった皆様からのお声に【目からうろこ】の反応を感じられます。

 

それでも一人で出来ることは限られています。

私のこうした活動をきっかけにみなさんそれぞれが着物に対して新たな視点や姿勢で向き合い活用していただければ、不要とされ処分され続けている現状を少しでも緩和できるのではないかと感じます。

その一助を担うべく、着物やアップサイクルについて私の持ちうる知識やアイデア、情報などを定期的にお届けしていきます。

 

アップサイクルとは、いらなくなったものをそのままの形新たな価値あるもの作りかえること。リサイクルは一度資源に戻してから使う

2022年4月 有形文化財での展示

 

おうちにある不要な着物に皆困っている

時代の流れや生活様式の変化、そのものの劣化等により、現在多くの着物が処分されています。

家でタンスの肥やしになっている着物を着られる方に譲ったり、リサイクルショップへ持ち込んだり、リメイクしたり。

持ち主はそれぞれ「活かそう」と試みるけれど、そもそも何をどうしたらいいのかわからない人がほとんど。自分でクリエーション出来ない方は本当に頭を抱え込んでいます

 

そのような着物はどうしたら良いのか?と私に質問してくる方が絶えません。

ほとんどが二束三文。
まずはリサイクルショップや買取業者に見積もってもらってください。
そこで売れなくてどうしようもなく困った場合、買取は出来ないけど引き取りますよ。

と伝えています。

 

あと、作家ものなど値の付くものを手元に残そうとしがちですが、自分の好みでなかったり自身が着ないなら売ってしまった方が良いです。

良い状態で次の持ち主にお渡しした方が値が良いですし、いつまでも保管していたら気持ちもすっきりしないですからね。

 

値段や価値に関わらず、自分が好きなもの・気に入ったもの以外は思い切って手放すことをされた方がいいです。

いつかは片付けないといけないわけですから。
自分がしなければ子どもや家族などがすることに。。

一刻も早く解決した方が抱える悩みが少なくてすみます。(身も心も健康的!)

着物は大切にお手入れ・保管していれば、軽く3世代は着られる素晴らしい衣服。
今のファストファッションのような流行を追い大量に所有するものではありません。
同じ着物をいつまでも着られるほど優れているのです。

仕事上、リサイクルショップへ足を頻繁に運びますが、お店に並んだ膨大な着物を見ていつも疑問に思います。

 

売れない着物はどうなるのか?

いろいろな理由で売れ残った着物や販売すら出来ない着物は、最終的に焼却処分されているとのこと。
それも月6トンを超えるのだとか。10トンを超えるとも言われています。

 

 

生地の種類や形状(袷・単衣、着物・羽織・道行、半幅帯・袋帯etc.)によって違いますが、着物だけで考えると1枚約1kg弱。

単純計算で月に6,000~10,000枚の着物が燃やされていることになります。

毎月ですよ!
それでも未だ全国には不要とされている着物が溢れているんです。

このまま焼却され続けていたら将来、着物は日本から消えてしまうんじゃないか?と心配になる。

 

特に昔の着物は、今では継承出来なくなっている技法も含まれ貴重なものが多い
それらの価値を見出し積極的に活用している方もいらっしゃいます。

 

私もそのうちの一人。
私は作品に使うほか、昔の手鑑(てかがみ:小裂を集めて帖に仕立てたもの)のように保管しています。

 

 

着物買取事情

古着着物で特に人気なのは銘仙などのアンティーク寄りのもの。

ただ、高度成長期前後以降のいわゆる現代着物として出回った着物がリサイクル着物の大半であり、一番値が付かないともされています。

・正絹100円
・紬200円
・羽織は買い取りしない。アンサンブルはOK。
・買取NGのもの → 木綿・ウール・ポリエステルの着物、汚れているもの・古いもの、しつけ糸のついているもの、道行、道中着、襦袢、二部式帯、反物、浴衣
(とある買取業者の買い取り価格と条件 [一部])

 

大島紬や作家ものなど名のあるものは除き、これらの活用方法を真剣に考えなくては「着物という不要品」は一向に減らないでしょう。

アンティーク着物よりも遙かに個性が抑えられた現代着物

着物を日常的に着られていた世代が「終活」(若しくは遺品)を通し大量に処分されているのが今のタイミング。

これは最低15~20年は続くのでは?と個人的に感じています。
この期間に何をどれだけ出来るのか。
大きな課題であり、私にとっては大きなチャレンジです。

 

大量生産・大量消費のツケ

大量生産・大量消費の世の中となって何十年。
そのつけが今ここに顕著となって現れています。

資源の枯渇、環境汚染と破壊
モノを大切にする想いの希薄

継承されるべきと思われている伝統すら存続の危機。

これまで受け継いだものや今あるものを活用し新たな世界を創造することは、私たちの住む地球を護るだけではなく、私たち自身の豊かな創造性と発想力を培うことにも繋がります。

それが新たな価値観を生みだし、社会が変わり、住みやすい地球へと変わっていくはず。

お互いが既に持っているものを尊重しあい、ときにはシェアをする。
奪い合うのではなく与える強さを持つ。
そうなれば間違いなく世の中は平和になる。

既にいっぱい持っていること。
既に豊かであること。

そこに気づいたら恐れも不安もないよね。
そう思うんですよ。

 

「1枚でも多くの着物を救う!」

最初は軽いきっかけで始まった古着着物を使った創作も、今ではこんな深い思想まで抱くようになった。

1枚でも多くの着物を救う

これはnaomariaが活動するにあたり軸となっている大事なポリシーです。

 

 

単純に物理的な話だけでなく、私たちのメンタルや思想といったソフト面、規模のでかい話であれば社会の変化や環境保全につながると信じています。

ただ一人ではできることに限りがあるので、みんなで一緒にやろうよ!という思いです。
できることはシェアするから、一緒に楽しんでアップサイクルを継続していきましょう♪

あくまで力まないで楽しむことを前提にね!