アンティーク着物って鮮やかで斬新な柄が多くて、とても人気ですよね。
収集する人が増えれば増えるほど完全に消えてしまうんじゃないか?
と思うんだけれど、骨董市やリサイクルショップを覗いてみるとまだまだ溢れている。
もちろん状態はピンキリ。
破れていたり穴が空いていたり。
汚れていたりなど、着るに耐えないものも正直たくさんある。
私みたいに作品の素材として使うには問題ない。
着る人>作る人
だから、着るに着られない状態なものは、いつまでも市場に残る。
そのおこぼれを作る人は頂いているのです。
アンティーク着物の見分け方
リサイクルショップでよくアンティーク着物と見かけますが、そもそもアンティークってどんな物を指すのでしょうか?
簡単に説明すると下記のようになります。
※1 時期の設定は厳密に定められていないので、人それぞれの捉え方で「ビンテージ」と呼ばれる。
そう考えると実質的に「アンティーク着物」というものは数が少ないことがお分かりだと思います。
人気の銘仙は大正の終わりから昭和15年程まで大量に作られた庶民に大人気の日常着でした。
銘仙は今でも大人気でコレクターが数多くいます。
昭和15年ですら1940年とまだ100年経っていません。
なので、厳密にいうとアンティークではないけれど、そんな扱いを受けています。
言葉どおりきっちり線引きしなくても、感覚的にそうだと判断すれば「アンティーク」で良いと個人的に思います。
アンティーク着物についての動画(市場に出回っているアンティーク着物の実情〜安価編〜)をYouTubeで配信しているんですが、コメントで批判されたこともあります。
最終的にどう判断するかはその人任せ。
骨董品のオークションへ出さない限り、どのように判断されても良いと思います。
騙さない限り。。
が、そういう区分がされている、と知るのは大事です。
アンティーク着物の見分けポイントは「紅絹(もみ)」
アンティークというものは100年以上の物を指す、と解ったところで、次に浮かぶ疑問は「どれがアンティークの着物か?」でしょう。
一番簡単な見分け方に「紅絹(もみ)」があります。
紅絹とは真っ赤に染められた胴裏のこと。胴裏とは裏地の上部分です。
これは戦後には消えてしまったものなので、時代考証にも役立ちます。
先ほども話したとおり、戦後となればまだ100年経っていませんが、これから時代が進めば必然的に「アンティーク着物」の見分けるための資料の一つとなります。
現在、新しくて80年ほど前のものなので、胴裏がこの紅絹であれば「相当古い」と解ると思います。
他に見分けるポイントは
染料
柄
糊
があります。
生地の薄さ
昔の生糸はとても細く丈夫なので、それで織られた生地はとても薄く艶やか。
滑らかな触り心地で、指が引っかかることがないほどスムーズです。
蚕が吐き出した糸の違いは、食べた桑の葉が影響しているようです。
染料
明治時代に入り西洋化が進んだ時代。
文化だけに限らず日本古来の衣服にも影響がもたらされました。
特に化学染料の影響は底知れず、生地を染めるだけでなく浮世絵にも変化がありました。
赤色の染料は特に顕著で、明治時代以降の浮世絵の赤を見てもらえれば一目瞭然。
この赤が一段と目立って見えるほど強い色へと変化しています。
着物も同じくで、べた塗り感の多い色は化学染料で染められたもの。
このべた塗り感が見極めの一つとなります。
柄
染料と合わせて判断出来るものに「柄」があります。
アールデコのようなモダンな柄だったり、幾何学模様だったり。
大胆な柄が多いのも特徴です。
糊
着物の表地と裏地は伸縮率が違うので、胴裏には糊をしっかり付け仕立てます。
この糊付けは現在着物には余り見かけません。
昔の着物、特に襦袢が多い印象です。
着物から襦袢が見えてしまったらかっこ悪いですもんね。
だから襦袢にも糊付けをしていたようです。
もちろん胴裏も糊付けされているものもありますよ。
ただ比率としては襦袢が多い。
これは悉皆屋さんも「そうだ」と言っていたので、そうなのでしょう。
胴裏側に糊を付けるのは、裏地の方が表地より伸びやすいからです。
糊が見極めの一つと言いましたが、これは自分で洗ってみないと解らないもの。
実際にnaomariaが解いて洗った襦袢の生地で質感の違いを紹介しているので見てね↓
記事でもご紹介しています。
▶ 『洗うと質感が変わる着物』
見分け方のポイントは少しずつ身につく
これだけでは良く解らない方もいるでしょうけど、何枚も触れているといつの間にか解るようになります。
私も最初は着物パーツの名称はもちろん、訪問着や小紋などの違いもさっぱり分からないほどのド素人でしたから。
興味持って着物に触れる時間が増えれば、知識がそれなりに増えていきますよ。
まずはリサイクルショップなどへ行き、実際触って見比べてみてください。
着物のことが良く解るお店なら、店員さんに質問してみるのも良いでしょう。
リサイクル着物の用途は「着る」が圧倒的に多い
以前京都でお着物を仕入れたお店でもそうでした。
多くの来客の目的は着用なので、掘り出しものの探し方が私とは全く違う。
自分好みの良品を探し出すかがテーマ
・きれい(破れていない、シミがない、穴があいていない etc.)
・好みのデザイン
この3要素はマストのよう。
リメイクの材料として選ぶ人もいろいろなので一概には言えないけど、私は色と柄、そして生地の種類や厚さを中心にめぼしい物を探していく。
たまに自分が着たい!!!と思う物があれば迷いなく購入する。
和洋ミックスの着方をすればだいたいのものは着られるから。
安価で売られているアンティークの着物実情
先にご紹介した動画を見てもらえれば良く判るんだけど、とにかく状態がひどいものが多い。
汚れやカビ、擦れや虫食いはご存じの方も多いでしょう。
初めての経験だったけれど、片袖がなかった!!!ということもある。
この片袖がないのには言葉失うくらい驚いたけど、こんなことも希にある。
とはいっても、ものすごく状態の良いアンティーク着物だって山ほどある。
それらの多くは何万もするものが多いのだけれど、今では途絶えてしまった技術や今では創られない斬新なデザインに溢れている。
だからこその価値なので、自分が納得すればお求めになるのも良いのではないでしょうか。
アンティーク着物の使い途
アンティーク着物は見るのは好きだけど。。
そんな方もいるでしょう。
状態の良い物ならもちろん着ればいい。
そうではない状態の悪いものはリメイクの材料にしてしまう。
絹という極上のマテリアルな上に、デザインや柄も現代物では手に入りくい貴重な物が多い。
それらを活かした作品や商品作りにすれば、一つの「ウリ」となってたくさんの人を喜ばせられるでしょう。
アンティーク着物は好きだけど着物は着ない
って言う人もたくさんいるのでね。
使える小物などに生まれ変わったら喜んで使う人がいると思います。
まずは自分が欲しい!と思う物を作ってみては?
何をどうリメイクしたら良いのか分からない、と言う方はこちらを参考に↓
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