人間の目は不思議なもので、色鮮やかなものも集まるとトーンがグッと下がって見えることがあります。
どんどん色がくすみ暗くなっていくのが判りますよね?
これを計算して制作しなくちゃいけない。
なかなか難易度の高い作業です。
予測通りにハマったらガッツポーズが出ます。
そもそも、どうしてこんなに色が違って見えるのでしょう?
超基本の4つを簡単に説明します。
面積効果
ここでは、単体の時とアレンジされた時のパーツの見える面積の違いを指します。
冒頭でお見せした写真3枚をもう一度見てみてください。
単体の時は見える面積が大きいけど、アレンジされた時に見える面積はごくわずか。
色の鮮やかさが全く違いますよね?
つまり、より鮮やかに見せたい場合は、一つ一つの見える面積を大きくすることが大事になってきます。
大きな面積の寄せ集めであれば、より鮮やかな作品を作ることが可能。
小さな面積の寄せ集めでは落ち着いた色合いとなり、多色使いであってもそれほど華美な印象はありません。
明度対比
明度は「色の明るさ」です。
明るい色の中にある暗い色はより暗く
背景色の明度によって「明るさが助長される」というわけです。
まっ白な背景の中に黒があれば、その黒はより黒く(暗く)見えます。
真っ黒の中にある白は輝くような明るい白さを放ちます。
近年よく好まれているニュアンスカラーは、明度が高く彩度は少し低めです。
彩度対比
彩度とは「色の鮮やかさ」を指します。
何も混ざっていないような色は、ハッとするような鮮やかさ。
原色やビビッドな色が「彩度が高い」と言います。
周りの色が低彩度だと鮮やかに見える
陰影
どのような作品を作るかにもよりますが、作品の場合、アレンジされ奥行きが発生します。
ここで出来た陰が明度を落とし、色の鮮やかさにも影響します。
色の見え方を感覚でとらえる
色の見え方の違いの主な理由は、
2.明度対比
3.彩度対比
4.陰影
細かくみればもっといろんな理由があるけれど、この4つを覚えておけば、作品作りではある程度カバーできます。
理論を知り理解することも大事ですが、作品は感性によって創り出されるもの。
色の見え方を理論よりも感覚で捉えられるようになると、悩む間もなく、瞬時に自分にとってのベストな色合わせの答えを出せるようになります。
そうなるためには数をこなしていくしか方法はありません。
どんどんチャレンジしてください。
色感覚を掴んでいく方法
実際に作品を作りながら色の見え方を知っていくのがベスト。
使う画材や素材で見え方が大きく異なるからです。
実践を伴いながら学んでいくことは、自分の作品において色の見え方を学ぶことになるので、一番確実で一番手っ取り早い。
どうしても作品を作るのが大変であれば、塗り絵を使って色感覚を掴んでいくのもいいでしょう。
画材は、たくさん色の揃っている色鉛筆がオススメ。
それほど高くないし、絵具と違って準備が簡単。
私の場合、作品の下書きに色を塗って見え方を確認します。
色鉛筆を使って下図をコピーした紙に色を塗っていきます。
コピーするのは何度も試すことが出来るから。
それでも色鉛筆で塗ったものと作品で使う生地の見え方は全く違うので、それだけで決め込んでしまうと高い確率で失敗します。
最後はやはり実際の生地で調整します。
さいごに
さまざまな色を組み合わせたときの見え方は、いろいろな要因が重なります。
とにかく経験を積んで身に付けていくしかないです。
職人さんが「身体で覚える」とよく言いますが、まさにそれ。
少しずつ感覚が自分のものになっていくので、焦らず、でも確実に経験を積んでください。
そうはいっても、やり直しがきくものであれば、何度もチャレンジすることができます。
一発で決めようと思わず、試行錯誤することを前提に色遊びを楽しんで頂けたらと思います。