コラージュ作品の土台にはどんなものがある?

コラージュは「糊付け」という意味があると説明しました。基本的に紙を素材として使用することが多いのがコラージュ。紙にもいろいろあります。前回の記事で説明しているので、そちらを参考になさってください。

 

コラージュ作品の土台

コラージュをする土台には主に①紙、②パネル、③布があります。

すでにお話ししましたが、コラージュの素材の多くは紙類です。紙と一言で言っても多岐に渡るほど種類は豊富です。工作や描画によく使われるケント紙や画用紙、書道や御朱印帳に使われる半紙や和紙、ワックス仕上げされたおしゃれな紙など様々です。

どれを選んでも扱いやすい素材なものが多いのが紙。テクスチャーを楽しめるものなら個性を出せ、素敵な作品を制作することもより簡単です。どんな紙を使うかにもよりますが、大抵の紙は糊を使えば波打ちます。スティック糊を使えば波打つことは多くの場合で避けられますが、一つ難点として「接着が弱い」ことが挙げられます。

せっかく仕上げても簡単に剥がれ落ちては台無しです。そのためにどのような糊を使うかしっかり吟味しないといけません。基本的にでんぷんのりや木工用ボンドで接着できます。筆運びをよくするために水で少し薄めて使うため、紙が波打ちやすくなってしまうのです。

糊については「コラージュ用の糊を選ぶ時の注意点」で説明しています。

この波打ちを避けるために

①厚めの紙(イラストレーションボードなど)を土台にする
②土台の紙を木製パネルなどに水張りする

という方法があります。

①のイラストレーションボードは画材屋さんで購入出来ます。それほど高くはないですし、必要サイズにカットしたらすぐに使えるので便利です。ちなみに1ミリ厚なのでカットはそれほど大変ではありません。

②の水張りは本格的な処理方法です。木製パネルに水張りした紙が土台となります。そこにコラージュした後、切り外し額装する場合とそのままパネル仕立てで完成させる2パターンの仕上げがあります。パネル仕立ての方が工程が遙かに少ないのと、コストが遙かに安くすみます。どのようなコラージュにするのか、価格帯をどうするのか等、ご自身で考えどちらの仕上げを選択するか決めてください。

ちなみに額装の場合は少し高価なイメージ。パネル仕上げの場合はカジュアルなイメージがあります。

 

水張りの仕方

水張りの手順

1.木製パネルの表面を水拭きしてアクを取る (⇒捨て紙を貼る)
2.土台とする紙の裏に平筆で水をたっぷり塗る
3.紙の丸みが取れたらパネルを紙裏面の真ん中に乗せる
4.4辺の処理をする
5.裏面処理をする
6.乾いたら完成

と言っても文面ではとても理解しづらいと思うので、動画を見てください。

水張りのやり方はいろいろあるので、検索をかけてご自分のやりやすい方法を見つけてみると良いでしょう。

※パネルのアクは経年により色変化をもたらす原因になる恐れがあります。古い絵画(紙媒体)などに茶色の点々を見かけることがありますよね。木製パネルにアクが残ったままだと、あのようなシミみたいな汚れが作品にまで浮き上がってきてしまいます。

※アク取りしただけでは心配な方は、木製パネルと土台の紙との間にもう1枚紙(捨て紙)を挟むことをした方がいいでしょう。捨て紙はパネル側面にでんぷん糊で貼り付けます。

 

木製パネル

木製パネル仕上げは前項で説明したとおりです。木製パネルは画材屋さんで購入出来るほか、今では100円ショップ(セリア)やホームセンターなどでも購入出来ます。

 

コラージュの土台に布を使うことも可能です。木製パネルに布を巻き付けた後、ボンド等で貼り付けるほか、土台に直接モチーフとする素材を縫い付けることもできます。縫製でのコラージュはパッチワークやアップリケにも似た手法なので、ソーイングが得意な方にはオススメです。

土台の布に素材を縫い付けた後、木製パネルに巻き付けます。ファブリックパネルを作る時と同じ方法でできます。このときもパネルのアク取りはやっておいた方が無難でしょう。

土台とする生地と木製パネルのと間にフェルトを挟むことで、アク取りの水拭きを省略させることが可能です。

ファブリックパネルの作り方は以下の動画で確認できます。

 

柄によっては生地の歪みが気になる場合もあるでしょう。この場合地直しをする必要がありますが、私は地直しをしないため正確なことはお伝えできません。気になる方はご自身で検索してください。

 

布は裏打ちする

布をコラージュの素材として使うときに一番困るのが糊付けではないでしょうか。

多くの場合ボンドは表に染み出してしまいます。それが痕になり見た目の美しさが劣ってしまう場合があります。

そこで最適な方法は、裏打ちをする、です。どんな素材の裏打ち材を使うか。もちろん「紙」です。書作品によく使われる和紙のような裏打ち紙が薄くて扱いやすいです。裏打ち紙を生地の裏面に貼れば、生地に近い感覚で切る、貼るという作業ができるようになります。私は全てこの裏打ち紙を使い制作をしています。

 

裏打ち紙のメリット

表に接着剤が染み出しにくい
紙のように作業ができる
ハリを出せる(しわにならない)
貼りやすい

 

裏打ち紙のデメリット

少し高価である
オンラインでしか手に入りにくい

ただ、きれいに作品を仕上げたい場合、必ずやって欲しい工程です。

 

裏打ち紙には、接着芯のように片面が糊になっておりアイロン接着できる簡単なものがあります。

紙専門店で販売されているホットメルト紙は少し厚い印象です。薄地でも、です。より薄さを追求するなら裏打ち紙をオススメします。

 

素材を縫い付ける場合は接着芯を貼る

どのくらいのサイズのものを使うか(土台も素材も)によりますが、接着芯を貼った方がコラージュ制作の作業がとてもしやすくなります。もちろん布製の接着芯です。

不織布は縫いづらいので私は使いません。不織布でも難なく作業ができる方は使われても良いと思います。ただアイロン接着すると縮んでしまうことが本当に多いので、個人的にはオススメしていません。

明るい色など表に色が反映しやすい生地には白色の接着芯を、暗めの生地なら黒の接着芯がオススメです。接着芯にはさまざまな種類と厚さがあるので、ご自分が扱いやすいものを選んでください。もしどれを選んだら良いのか判らない場合は、少しずつ購入しそれぞれ確かめましょう。

 

以上が、コラージュの土台となる主な素材です。