風のように旅する

「クラウド・ナイン」

直訳は「9番目の雲」という意味だけど、最高に幸せな感情を表す表現。

風は、雨や雪などのように手で触れたり、雲のように目に見ることはできない。が、存在自体を私たちは認識できる不思議な存在。

吹く風には規則性がなく、突然荒れたり緩んだり。方向も当然変わる。人間で言ったら気まぐれな心のようなもの。次の瞬間にはどうなるのか読めない。まさに自由人。

私は20代前半、ボストンに留学していた。専攻は「Travel & Hospitality」旅行学。日本人留学生に人気のメジャーだった。

それほど旅が好きで、帰国後も911の直前までは年に何度も海外へ行っていた。

ただこの頃には、国内での仲間でワイワイやるという人生初体験な楽しみを見出しそちらに没頭していた。

それがデフォルトとなり海外へ旅することがグンと減ってしまうも、これまでは行ったことのないアジアを中心に渡航することが少しずつ増えた。

コロナ禍前はロンドンとセドナ。

いずれもツアーのようなものでストレス抱えて帰国した。特にロンドン。

もったいない精神であれもこれもと詰め込まれ、時間に追われ肉体はしんどいし、ゆっくり楽しむ間もなかった。

私は何でもかんでも取り込むよりも、厳選したこれぞ!と思うものをじっくり堪能したい考えの持ち主。ここの価値観が合わないもの同士の旅なんてお互いに良いことはない。特に立場的に弱いものが犠牲となる。

元々の性格と学んだ知識から、旅の前にはしおりを作るほどしっかり予定を決めていた。歳をとるにつれ、また旅に出る機会が増えれば増えるほど、事前に立てた予定が旅先での楽しみを軽減させてることに気づいた。

それからは偶然を楽しみに過ごすようになった。

とは言っても、極度の人見知りなので「出会いの偶然」はあまりない。

それでも見知らぬ場所だったり、遠ければ遠いほどその旅は刺激的で「また旅に出たい」と中毒性のような思いに駆られる。

旅にはオールリセットされ、インスピレーションも湧きやすくなり、制作には欠かせない活動の一つになっています。