ずいぶん前、日曜美術館を観たときのこと。
イントロがローリング・ストーンズのGimme Shelter。
あんまりない展開のような気がして、パンケーキづくりの手が思わず止まった。
同時に私の内からこみ上げるなんとも言えない高揚感としっかり光を捉えたかのような満足感。
あぁ、私はやっぱりロックが好きなんだな、と。
しかも70年代のロックが。
Gimme Shelterは1970年製作。録音は1969年。
なぜこんなにも70年代に惹かれるのか。
なぜこれほどにも70年代に惹かれるのだろうか?
私が思う理由としては、整然ときれいに作り込まれたものではなく、アナログ的な要素をタップリ感じる事ができるからだと思う。
▶『インスピレーションの原点』
もちろんしっかり丁寧に作られているんだけど、そこに”温度”を感じられる。”息づかい”や”生”すらも。
まさに生きている音
今ないものへの憧れのようなものもあるかもしれない。
ただ、それ以上に、肌と肌が触れあったときのような”温もり”が妙に私の心を掴んで離さない。妙に心地よいから。
デジタルが主流となった今の時代では感じにくい、人間の手や息吹がそこにしっかり刻み込まれ、ある意味”人間くささ”を体験できる。
”生きている”という実感を味わえる。だから心を奪うのかもしれない。
人間くささを感じる温度感
私は作品作りにおいて、”温度”というものをとても大切にしている。
ただ「きれい」に作るのは簡単。
そこに「温度」を添えるのは、至難の業。
どう生きてきたか。どう感じるのか。どう思うのか。どう考えるのか。
そんな生きていく上で経験するあらゆる物事と、絶対的にこみ上げてくる感情とともに培われていくもの。創り出そうとして創れるものではない。自然と内からにじみ出てくるもの。
長く生きれば生きるほど
経験すればするほど
自然なぬくもりとして
自分の中に存在する
これが人間味溢れる”温度”なのだと感じている。
これまでの散々たる経験はこのためにあったのだと、今となっては心から思える。
経験を通していかに成長するか。
その成長と比例して、人間として作品としての深み・厚みが増していく。
私が70年代に惹かれる理由。
心の奥深くある部分に存在する”生”、”温もり”、”厚み”を感じるからかも知れない。