【一枚の着物ができあがるまで】#5 生地(染めと織り)

生地にする

糸が出来上がったら次は生地にする段階に入ります。
生地にするには糸を織ります。

白い糸を織って白布にし染めるものと、先に糸を染めてから織る2つの方法があります。
前者は「染め」、後者は「織り」と呼ばれます。
また、染めは後染め、織りは先染めとも呼びます。

染めの着物は比較的やわらかい風合いが特徴。
フォーマルの着物によく使われています。

反面、織りの着物は糸が太めで硬い風合い。
紬をはじめ、お召や木綿、ウールも先染めされることが多いのが特徴です。

これらから、後染め=染め=フォーマル先染め=織り=街着と分類されます。

木綿や紬の着物

 

染めの着物

生糸を織り白生地に仕上げ染めるものに、留袖、訪問着、色無地、付下げ、小紋があります。この白生地には織り方によって様々な種類があり、テクスチャーや表情も異なります。

 

綸子(りんず)

経糸と緯糸を複雑に交差させて地紋を織り出すのが特徴。凹凸により模様が浮き出るイメージです。

綸子

 

縮緬(ちりめん)

緯糸に強い撚りをかけ織ることで、しぼと呼ばれる凹凸が生まれます。

縮緬

 

絽(ろ)

縞状が特徴の薄めの生地。透けるような薄さで夏に着用されます。

 

羽二重(はぶたえ)

撚りをかけない生糸で織られた艶やかで滑らかな生地。胴裏によく使われます。

羽二重

 

塩瀬(しおぜ)

羽二重の一種でよりしっかりした生地感が特徴。

 

 

模様の出し方

綸子のように地紋が入ったものや特徴的なテクスチャーの着物生地はどのように作られているのでしょうか。

生地は経糸と緯糸の交差からできています。
織り方は、平織、②繻子織(朱子織)、③綾織(斜文織)、④もじり織り(からみ織り)の4つ。
これらの組み合わせにより模様が作られます。

『すぐわかる 染め・織りの見わけ方』参照

 

織りの着物

「織り」と分類される先染めの着物には、御召、紬、木綿、ウールなどがあります。
※織りで使われる生地については前回記事をご参考下さい。

 

次回は…

紡ぎとった糸や織り上がった生地を染めることで、仕上がった着物はとても色彩豊かで華やかになります。染め方もいろいろ。それは次回!

 

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【一枚の着物ができあがるまで】#5 生地(染めと織り)
【一枚の着物ができあがるまで】#6 染め
【一枚の着物ができあがるまで】#7 着物を仕立てる