着物コラージュアートとは?~誕生までのストーリーとその後~

naomariaは2012年にこの名で活動を開始しました。
当時はプリザーブドフラワーの講師でしたが、活動を続けるにつれ表現形態が変化しオリジナルアートを生み出すまでになりました。
「着物コラージュアート」と命名した比類なきアートの誕生から今に至るまでをお話しします。

 

はじまりは2013年

古布を使った創作が始まったのは2013年。
活動名を”naomaria”と定め、初めての個展を開催した翌年。
プリザーブドフラワーをやっており、教室を開講したばかりでした。
ちりめんをフラワーアレンジに使う目的で収集を始めた頃でもあります。

2012年11月個展『my world ~japanesque~』

 

しばらくし着物リサイクルショップで見たモダンデザインのアンティーク着物のハギレに強い衝撃を受け、瞬時に着物を作品に使うことを決意。

 

 

2013年 書家さんとのコラボ作品サンプル

2013年5月個展『Bridal』

こうして着物生地を使った創作が本格始動。
花弁として使うことがメイン。
もちろん他に使い方がないか、と、いろいろなチャレンジを続ける。

 

着物コラージュアートの前形誕生

古布を使った作品作りのチャレンジはとても楽しい時間。

ほんの2~3ヶ月のチャレンジで出来上がったのが、現在の着物コラージュアートの原点ともなる作品↓。

2013年8月作『GAG』(非売品)

私が初めて観たエアロスミスのライブが『Get A Grip』ワールドツアーのとき。
その時の感動をアルバムジャケとリンクさせて制作した思い入れの強い作品です。

まだ着物だけじゃなく、プリザーブドフラワーのバラやレザーも混じっている。
そしてビーズの他、チェーンなど様々な素材を使用していた。

ここからさらに試行錯誤を重ね、現在の仕様へと発展する。

 

2013年11月の個展で初披露。なかなかの評判でした。
このときこちらを含め6点制作。
他は自分の中で違和感が生じてきたのでほぼ全てお蔵入り。
初期作品で唯一手元に残っているのがこの『GAG』です。

 

『GAG』と共に生き残った(笑)作品↓は2017年4月にお嫁入りしています。

2013年10月作『ideal』

 

転換期は2014年 とある出会い

オリジナルスタイルの片鱗を生み出せたにも関わらず、あっという間にスランプがやってきた。

2014年10月の初ギャラリーでの個展会期中にそれはMAXとなった。

 

自分の作品を眺めては、「自分が表現したいものとは全然違う」と在廊中にめちゃくちゃ凹んでた。
着物コラージュアートとはかけ離れたコラージュをやってたんだよね。このとき。
それが全ての歯車が狂っていた根本的な要因なんだと、今となっては判る。

本当に気に入らなかったんだね。
当時の作品の写真が一枚も残ってない(笑)
ただ掲載された記事が残っていました↓

このとき掲載された同じ朝刊に、カラーで載ってる謎のインド人が。
めちゃくちゃ目を引く作品が気になり、彼の展示に行った。
当のインド人は作家さんでありながらプロデュースもする敏腕のビジネスマン。

彼に私の作品を見せたら、言葉を選んでくれたものの
全力のダメ出しだった(泣)

自分でも分かってるけど、やっぱり全否定って凹むよね。

 

グループ展に誘われたので受けることにした。

というのも「作品を成長させられる」
的確にいえば、自分がもっと納得のいく作品を作れるようになるんじゃないか、と感じたから。
よい勉強の場だと感じたんだよね。ずっと一人でやってきたから。

ただし、グループ展参加には一つ条件が提示された。

事前に作品のチェックで合格すること

2014年10月中旬のこと。

 

着物コラージュアートの誕生

グループ展は翌年2015年3&4月。
思いのほか時間はない。
ないが、2014年中には一個もアイデア浮かばず年を越した。

2015年に入りようやく腰が上がる。

2013年に誕生させたあの手法を使って何か作ろう。
どんなデザインにしようか?と考え始めた数日後、、突如ひらめきが舞い降りてきて一気に5点仕上げた。

2015年3月作『Twin Love』

 

2013年に生まれた種を育てた結果
2015年3月に花が開いた

着物コラージュアート誕生の瞬間

 

無事審査には合格しグループ展に参加できました。
初参加で3点売れた。1点80000円するものが。

自信付いた。

このスタイルで行く!と決意し、積極的に個展を開催することになります。

 

 

着物コラージュアートのパーツ

私が生み出したオンリーワンカテゴリーの着物コラージュアート。

よくこんなの生み出したなぁーと、自分でも感心する。

この着物コラージュアートは、タンスに眠ったままの着物を解き、洗い、生地にした状態のものを日本製の粒が揃ったビーズと掛け合わせてできています

基本はうろこ状。龍のうろこと呼んでいます。

うろこパーツの大きさはこのくらい。
これを何百、時には何千と修行僧のようにひたすら作り続けます。
この作業に何日もまたは何週間もかけて作る。

出来上がったこれらパーツをコラージュしていくのだけど、それは均整取れたものだったり、イレギュラーな並べ方だったりします。

きれいにパーツが並べられた作品

ランダムにパーツが敷き詰められた作品

文様を作るために複雑な形をとる場合もある。

Serene Days (2018)

いかようにも変化させることが出来るコラージュパーツ。
主に2パターンで形を作り、それらが集合体となって作品へと仕上がります。

色も形も組み合わせ方も無限大。

想像の限り
創造が広がる

果てのない宇宙のようにいつまでも創造が止みません。

 

存在しなかったアートに対する反応

今まで見たこともないものを受け入れるには時間がかかる。
しかもどのように受け止めたら良いのか分からず困り果てる人もたくさん居た。

純粋に観て、自由に感じてもらえたら

と思うも、鑑賞者にはなかなか伝わらず。
ジレンマの日々。凹むことも何度もあった。
それでも個展を開催することで、反応が徐々に変わり始めた。

2017年3月。
久保田一竹美術館で個展をさせてもらったとき変化の第一波が訪れた。

ここの来場者8~9割は外国人。作品の鑑賞の仕方に違和感を抱いた。
今となってみれば納得の話なんだけど、彼らは作品の表面的なことじゃなくもっと奥深いところを観ている様子だった。
これは外国人と日本人とのアート鑑賞に対する姿勢の違いを目の当たりにした初めての出来事だった。

このときたくさんのお声を頂いた。

これを見て、海外へのチャレンジは「いける!」と確信した。
私の中で自信を持つことができた、という大きな変化と収穫のあった展示となった。

【ご感想を頂いた方々】
イギリス、フランス、スペイン、イタリア、ポーランド、ノルウェー、ベルギー、ルーマニア、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、ブラジル、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、台湾、中国、日本…
【ご感想】
“Beautiful!!” “Must see!” “Love it!” “Soulful!” “Wonderful!” “Interesting art work!” “Amazing!” “Just Gorgeous!” “Disco!” “Fantastic!!” “Colorful!” “Different!” “Creative♡” “Magnifique” “Merveilleux” “We admire Japanese aesthetics,Thanks!” “Simply beautiful,inspiring artwork!” “You are the best!” “Very Imaginative!”…

 

実績が欲しく公募展にも出品

当時すでにアラフォー。まだ経歴の浅い私はコンプレックスにまみれ焦っていた。
自分の目指す立ち位置に早く到達したいと、実績作りに専念した。

そのうちの一つが公募展へのチャレンジ。
2戦2勝で入選。惜しくも賞は逃したが、2回目にして私が制作する目的は「賞を取ることではない」と気づき、潔く公募展からは退いた。

最近は尊敬する岡本太郎先生の名の付く公募展にブラッシュアップのために参加している。
落選続きだけれど、毎年このおかげで腕は伸びているんじゃないかと感じる。
入選したら確かに嬉しいけれど、そこを第一目標に設定していない。

 

2回連続で入選した時の寸評がこちら。

「生地で作る”点描画”と呼びたいと思います」
ーサロン・ドトーヌ会長ケクラン女史

 

「繊細さの中に美しさが詰まっている。まさに”美のギフト”です」
ースペイン美術賞現地関係者

 

ちなみに、2017年4月にソロ来日したスティーヴン・タイラーからも言葉をもらっている。

「君の作品には、たくさんのムーブメント、色、この春のような新しい輝きがあるね」
ースティーヴン・タイラー

 

このコメントはこちら↓の作品(写真)を見ての感想。

2017

このときバックステージで会えたのだけど、「個展開催おめでとう」とも言ってもらえた。

ファンにとってみたらこれ以上にない幸せ。
思い出となった個展の一つでもあります。

 

またしてもデカいスランプがやってきた!

そして2018年。あっという間にニューヨークでの個展が決定。

多忙と大きな夢の一つの実現が重なり、帰国後腑抜けになった。

なんのために作ってるんだろう?

原点に立ち戻ろうとしても戻れない。完全に自分を見失っていた。
2020年までそんな日々を過ごす。より焦る。

焦っても仕方ないのに、心の焦りも引き金となり身体を壊して完全に動けなくなった。
2020年11月のこと。

 

身体を元に戻すことに専念し、ようやく「らしく」動けるようになった2021年2月。制作を再開。

「働き方を変えなくちゃいけない」とドクターに言われた言葉にちゃんと向き合い、時間配分・ペース・制作環境を見直し改善。

 

そして、かねてから抱いていた「古着着物をもっと有効的に活用したい」という思いが強く込みあがってきたのでカルトナージュを始めた(現在休止中)。

自然とカルトナージュをお休みすることになったのは、やはり着物コラージュアートに注ぐ想いが比べものにならないほど大きいからだと思う。注ぐ熱量が全然違う。

The Phoenix (2017)

何があっても決して手放さないこのアート。

naomariaが生み出した比類なき世界

私が私であるために必要なもの。
だから思う存分に、込み上がるものを吐き出し形にする。

私の中にあるものを具現化しているので、「比類なき世界」であって当然。
それがどのように変貌を遂げるのかは私にすら分かりません。

 

スランプ中に再確認した自分の特技=インスピレーションの源

私の特技。

それは、人の気持ち(本音・本心)が瞬時に分かってしまうこと

幼少期は認識していなかったけれど、私の発した言葉に相手の大人が言葉を飲んだこと、喋っている間から「あ、この人今こう思っているなぁ」と感じていた記憶をいくつか思い出した。

そんなのって観察力が高い人なら出来る話じゃない?と思ってたわけです。

でもそうでないことを知ったのがこの時期。
衝撃すぎて言葉を失いました。
と、同時に私そんなに特殊なのか?と悩み始めることに。

 

一瞬で分かってしまう苦しさ。
喋らなくても分かる。

感覚的に分かるんだけど、それを言語化するのがとても大変。
それが出来たらカウンセラーになっていたかもしれない。
が、全くそれが出来ないんで、私は”芸術”というカタチで表現している。
必然な流れだね。

 

この感じるものの正体は”エネルギー

特に私はそれを””として感じる。不思議だね。
説明できないけどそうなんだよ。オーラが見えるのとは全く違います。

この感じた色を作品で表現するので、具象より抽象の方が多いのがそれが理由。

 

例えばこれ↓

寝起きに黄緑と黄色のグラデーションの世界が脳裏に拡がったので作ったもの。
この色の根源は何なのか?と探求していったらジョン・レノンでした。
なぜジョンなのかは未だに理由が分かりません 笑。

 

音楽が聞こえる作品

以前打合せで私の作品からは音楽が聞こえる、と言われたことがあります。

私にとって音楽は切っても切れない存在。
iPhoneには5000曲ほど入ってる。
洋楽ロックから日本の懐メロまで。

それを気分や制作テーマに合わせてBGMの曲を変える。
最近レコードプレーヤーを購入したので、アナログな音も楽しんでます。

 

ライブへも足を運びぶ。最近は国内が多いけれど海外も観に行くほど。

2023年5月末時点で127公演。33年の間に。
ライブハウスはカウントしていないので、140公演くらい行ってるかも。

 

作品から音楽が聞こえる

きっとこんな日々の何気ない行動や長年の音楽に対する熱量が、知らず知らずの内に細胞一個一個に行き渡り「今の私」というものを形成してるんだな、とつくづく感じる。

 

着物コラージュアート初作品はさっきも話したとおりエアロスミスがテーマだし、ギターにデコしてしまっているし。

 

思えば私の幼少期、父親は歌を習っていて「豊橋まつり」という大きな祭りの中で今も開催されているのど自慢大会的なものに出場していた。
会場まで観に行った記憶がある。

尺八だかなんだか覚えがないけど縦笛も持ってた。もちろんアコギも。
今もよくBSで歌番組観ている。

 

色、とりわけグラデーションに妙な反応を示すのも、父親の釣り好きが影響している。
きれいに並べられた色美しい疑似餌。
小学生の時、コレクションしたく「欲しい!」と言っても却下され続けていた。

釣り用の網を編んだり、疑似餌を作ったり。細かい作業も好んでやっている。
しっかり影響を受けていたんだ、と今になって始めて気づく。

すごいね「血」って。
隠しきれない根底
自然とにじみ出てくるんだね。

 

色を感じる力に、幼少期に感動したグラデーションの世界、そして熱い情熱を注ぎ続けられる音楽。

この色×音楽がnaomariaを構成する大事な軸であり、根源である。

 

これからの着物コラージュアート

先のことは分からない。
分からないけど、自分の根源を知ってしまった以上、それを私なりに表現していくことが大事だと思っている。

自分のイメージする世界を表現するのに欠かせないのが
色を使ってどのように自分の世界観を表現するのか?
何年経っても「正解」が見えてきません。

Roar of the Earth (2022)

それでも、これからも変わらず、そして末永く楽しみにしてくださると嬉しいです。

※着物コラージュアートとは、naomariaが独自に考え創り出した他にはない新しいアートです。
他で見るものは全て模倣品。技法は一切伝授・伝承しておりません。ご注意下さい。