自分色を見つける方法

最初のうちは一つの作品スタイルに決めることができないかもしれない。

とてつもなくアイデアが湧いてきて止まらない。
そのアイデアはいろんな形となって脳裏に現れ自分の中で存在し始める。

どれも形にしたいけどまとまりがないように感じる。
どれか一つチョイスして形にしたいけど、決められない。

 

発想力の高い作家さんはそんなことに悩むこともあるかもしれません。
そして経験が積まれていくと、今度は「どうしたら売れるものが作れるのか?」という疑問も湧いてくる。自分のやりたいことでお金を稼ぎ暮らしていきたい、と思うのは表現者にとってみたら自然なこと。だから「売れるには?」という考えが頭をよぎる。が、なかなか実現できずに苦しむことが多いのが現実ではないでしょうか。

「売れる」ためには技術以上に、人となりやブランディング、戦略などがものを言うのだけど、今回は作品に絞ってお話しします。作品も魅力的でないと人を惹きつけませんからね。

自分でないと作れない「色」が人を惹きつけます。

※ここでは色はカラーでははく特色のことを指します。

いろいろな表現者が溢れている今、観る者の目は肥えています。
そんな人たちを満足させられるような技術力・再現力・表現力、なによりも自分色は必要不可欠。

では何をどうしたらいいのでしょう?

 

まずはアイデアを全て形にする

創作活動の初期段階は、まだ自分の作品スタイルが確立されていないことがほとんど。
そのためいろいろなアイデアが湧き出てきやすい。

そんなときは、時間がかかってもまず全て形にしてみる。そして実際に形にしたときの自分の感情を観察します。

「いまひとつ」
「もっとなんとかしたい」
「良い感じ」

となったら改善を加え続け、自分が「よし!」と思えるところまでレベルアップさせる。

「何か違う」や一回で満足してしまったのならジ・エンド。
そのアイデアとはいったんおさらばです。

「いったん」とするのは、今後の何かしらの形で役に立つこともあるからです。
そのままであったり、他のことと組み合わせたり。
もしかしたら今はまだ”それ”を再現する力がないだけかもしれない。

とにかく完全に”捨てる”のではなく”キープ”しておく。
アイデアの引き出しに大切にしまっておくのです。

 

展示し観てもらう

100%満足する作品を作るのは極めて難しいです。

作っているときは全力を注ぐので、達成感はあるし自信もあるかも知れない。
ただ、時間が経つと見え方が変わり、途端にいろいろなところが気になり出します。

制作を続けていれば当たり前のように訪れる現象。
それは日々の制作で成長しているから。

技術もさることながら、心も視点も意識も変化し続けている
だから見え方が変わるので、捉え方も変わってくるのです。

 

そうかといって、いつまでも大事に作品をしまい込んでいるのではなく、まずは展示してみます。展示して色々な方に観てもらいます。

すると自分では気づかない観点をもらえます。
人それぞれ着目する点は違うし、価値観も違う

他人の視点が入ることで作品に対して主観的だったものが視野が広がり、少しずつ客観的に観られるようになります。すれば、どこをどう改善したらより良くなるかが見えてきます。

 

できる限り観覧者と交流を持ち、感想をシェアしてもらう。
時には耳を塞ぎたくなるような辛らつな言葉や嫌味を言われることもあるけれど、そういう捉え方をする人もいるのだ、と心を強く持つ。

人に何を言われても流されない、一本筋の通った自分へと育てる訓練にもなります。

 

感想や反応からスタイルを決める

実際に作品を観た人からの言葉は説得力があります。
良くも悪くもその人の想いが乗っかり説得力を増します。

一人一人の言葉に作品スタイルを寄せていく必要はないけれど、参考として受け入れることは大事。

特に活動の初期段階は自分のことを知らない人がほとんど。
認知度を高めるために、あえて好評だった作品スタイルを置くことも戦略の一つです。

ただここで大事なのは、自分色を失わせないこと

 

絵で言えば、カラフルな動物画がとても人気。
実際に売れている画家さんが、一番売れるのが「動物画」と断言していました。
その方は、人物画・抽象画・風景画そして動物画を描いて路上販売をし、統計を取ったそう。
彼の実体験からも証明されています。

「動物画が売れるから生活のために描き始めた」と言っていたインスタグラムのフォロワー12万人越えの画家もいました。

動物画で検索すれば分かりますが、一見同じような動物画に見えても、描く人それぞれの特色があり個性があります。

良く見る感じだけど、どこか違う

その「どこか違う」を洗練させていくと、大きな差となり、その人の「ウリ」や「顔」となります。

ここを見失うと、他となんら変わらないものとなり目に付きにくくなる。
最悪「模倣」だと捉えられて敬遠される、なんてことも起こりかねない。

 

みんなが好きなもの、自分が他人から求められているものを自分なりにアレンジし生み出す。それを実行します。料理のようなものですね。

 

決めたスタイルで作品を作りながら自分が本当に作りたいものを作る、ということもOKです。

私もそうしています。

求められる喜びを感じられるし、売れると自信が持てるし、やる気がみなぎる。
そうなると自分が本当に作りたいものへ注ぐ情熱も想いも、より純度が高まり輝きを増す。

そして何よりも、その売れたお金で新たな材料を購入する事もできる。
考え方によっては、良い循環になり得ます。

 

自分色を強くする

人は変化を恐れる生き物。これまで見ていた馴染みのものが突然変わると拒絶反応を起こしやすくなります。防衛反応ですね。

誰もが安心・安定を望みがちですが、モデルの冨永愛さんみたいに「変化し続けないと不安」という方もいらっしゃいます。ただ割合的には少ないですね。そのような方は、ワールドワイドで活躍できるバイタリティーを生み出しやすい。

 

自分自身や作品を知ってくれ、ファンになってくれ、展示会や個展を開催する度に足運んでもらえるようになったら、少しの変化も受け入れてもらえやすい。
こうして徐々に自分の目指す本当のスタイルへと変化させていきます。

最初から自分スタイルが定まっている人は、真っ向勝負でやったほうが時間も労力もお金もかからずに済む。

私は極度の変化をもたらしたので、離れた方がいくらかいます。
その人たちを囲っておきたいわけではないし執着しているわけではないんだけど、がっかりしたのは事実。

naomariaの作る作品ならなんでも手にしたい!というところまでのファン化ができていなかった。

そこがショックだったのです。そこから自分の姿を少しずつ曝け出すようになりました。

 

制作以外の自分の姿を曝け出すことで、作品スタイルの色も自然と決まってきます

私で言えば洋楽ロックがめちゃくちゃ好き!

人生の大半を洋楽ロックと共に過ごしており、海外までライブを観に行ってしまうほど夢中になっている。そんな姿を見せ続ければ、作品の色がロック色に染まったとしても、「naomariaらしいね」となるわけです。

逆にきれいで優しい雰囲気の作品を作ったなら、皆が驚くし、「こういうものも作れるんだ!」とポイントが加算されます(笑)

「ギャップ萌え」と言う言葉があるくらいなので、あえてそこを狙うのもいいですね。
私はそれができないので、「まんま」を表現していますけど。。

 

自分色の育て方

自分が本当に好きなものとの向き合い方や付き合い方を曝け出すことで、自然と自分色が出来上がります。好きなものでなければ得意なことでもいいです。

洋服のコーディネートが好きならば、毎日それをアップする。
ただコーディネートの紹介で済ませるのではなく、どういった理由でそれらを組み合わせたのか?を説明する。

色、アイテム、素材etc.

いろいろなポイントがあるはず。自分が一番大切にしているポイント1つに絞りキャプションを付けます。それを続けていけば、そこを意識して見てくれるファンが増えます。

その一番大切にしているポイントを自分の作品にも活かしていけば、結果、自分色が出来上がる、と言うわけ。

ただ一朝一夕にはいかないので、日々の努力が大切です。

 

最後に

ありふれたものから自分の作品を突出させるためには、自分色が大事になってきます。

そこにばかり意識が向くと作品作るのが苦痛になることもあります。
作品を作る第一の目的は「表現したい」のはず。
でも、自分色を追求するのは、その後に続く「どのように」にあたる。

「どのように」は自然と湧き上がるアイデアにお任せした方がいい。
無理に創り出したものより、ナチュラルで相手に伝わりやすいんです、不思議と。

目には見えないテンション(力のかかり具合)が存在しているからかも知れないね。

自分が好きなもの・得意なことに対する素の姿やこだわりを曝け出すことは「表現する」ことの一つ。作品で表現することと同じ。

自分自身を表現することに慣れていけば、いつの間にか作品へも投影できるようになっています

このとき本当の「自分の色」が出来上がり、個性となって作品が動き出します。

 

自分スタイルが定まらず悩んでいる方は、まずは自分自身を表現してみることに注力されたらいかがでしょう。