蚕を育て繭を作り、そこから紡いだ糸を使って名古屋帯を織るという半年以上に渡るワークショップに参加しました。
今回は、「糸を紡ぎ織る」という工程をご紹介します。写真の撮り忘れも多くシンプルな内容になっていますが、少しでも参考になれば幸いです。
繭から糸を紡ぐ
繭から糸を紡ぐ方法はいくつかあります。90~100度ほどの熱湯で繭を煮、繭に付着しているセリシンなどの付着物を取り除き、糸を取り出しやすくする煮繭(しゃけん)法がよく知られています。
今回私たちが行ったのはずり出し。ワークショップという特性もあり、あまり手の込んだ作業がしづらいということと、繭をカットして糸を取り出すと途中で切れた糸がたくさん出てしまうことが主な理由です。紬糸のような節があったり、少し太めの糸に仕上がり織られた生地の風合いが素朴で温かみをより感じるものになります。
ずり出しのやり方
繭から糸を直接引き出す方法の一つ「ずり出し」。言葉のイメージからなんとなくイメージが付きそうですが、生糸のような細い糸を取り出すのではなく、すでに撚ったかたのような太さの糸を引き出します。
ワークショップの先生がお手本を見せてくれています。人それぞれやりやすいやり方があるかと思いますが、基本このような感じで糸を引き出し撚っていきます。
名古屋帯を織る
桑の葉や蚕の糞、藍や、その他植物など自然のものを使って染色した糸で名古屋帯を織っていきます。全ての染料がオーガニックなので優しい色合いで、見ていてほっこりします。
写真の多くが謝って消去されてしまったため、静止画が少ないです。が、インスタグラムのリール用にショートムービーを制作しているのでそちらをご覧下さい。
あれだけ太かった糸も織ればきゅっと引き締まり、目の細かな糸へと変身しました。裂織りを体験したときにも感じたのですが、この緯糸の見え方の変化をある程度理解していると、理想の出来上がりに近づけられるのかもしれません。最初は経験が足りないので「思ってたのと違う」とい感想を持ちかねませんが、それもそれで楽しめられればいいのかな、と思います。
裂織り体験では卓上の織機を使いましたが、今回は博物館で見るような本格的な織機を使っての体験。先生が普段使っている織機です。簡単に分解ができ、軽バンに積み込めるほどのサイズになります。作りがシンプルだからこそ叶う合理的な作りですね。デジタルではないから、定期的なメンテナンスを行いながら丁寧に扱えば、優に100年は使えるだろう、という印象でした。
これで蚕を育て糸を紡ぎ帯を織る、という一連のワークショップは終了しました。また何か面白い体験があれば積極的に参加しシェアしたいと考えていますのでお楽しみに。