繭を染める方法

おうちで育てた蚕が作った繭を染色し糸にするワークショップに参加しました。

こちらの記事ではまず繭を染める工程をご紹介します。

 

毛子から繭になるまでの過程を下記にまとめています。ご興味ある方は是非こちらも合わせてお読み下さい。

※蚕の姿をたくさん掲載しています。虫が苦手な方は閲覧をお控え下さい。当記事も一部蚕の姿を掲載しています

 

 

蚕の糞で繭を染める

精錬し乾燥させた繭

今回のワークショップでは蚕が出した糞と藍で染めました。黒い粒↓が糞です。

蚕の糞でも染められるというので、捨てずにとっておきました。

私の蚕は全て繭になる前に病気で死んでしまったので、糞を使うことで彼らの生きた証を残せると少し報われた気がしました。

 

染めに必要な道具

ステンレスの鍋
バケツ:鍋が入るくらいのサイズ
トング
さいばし(長いもの)
温度計
不織布のゴミネット:糞を染料にする場合
出汁パックまたはお茶パック:繭を入れるもの(取り出しやすい)
タオル:数枚
ハサミ:草木染する場合(手でちぎれる場合はハサミはなくてもOK)
染めたいもの:繊維、繭など
染料にしたいもの:お好みの草木

 

 

染液を作る

蚕の糞で染液で作る場合

蚕の糞で染める場合、染液を作るのはとてもシンプル。

1.糞を出汁パックまたはお茶パックに入れる
2.煮出す

以上。

 

まるで紅茶葉をお湯に漬けたときのように色がお湯へどんどん染み出します。

糞と桑の葉の食べかすを完璧に仕分けるのは大変。混ざっていてもOKです。

 

植物を使う場合

植物はお好みで生のままで使うか乾燥させて使います。

染める前に細かく刻み、鍋に入れ水を加え煮ます。

沸騰してから15分ほど煮だしたら、ざるで漉す【1番液】

 

2番液を作る場合、植物を鍋に戻し水を入れ煮る。同じように15分煮込んだらざるに漉す【2番液】

※好みで同じ作業を繰り返し、染料液を作っていく。
※植物によって煮出せる回数は異なります。実際にチャレンジして確認してください。

 

藍の葉で染める場合

1.藍の葉を摘みミキサーに入れる

2.葉の半分くらいの水を入れ撹拌させる

3.ざるやネットで漉して染液の完成

4.ビニール袋やジップロックの中に液と染めたいものを入れ漬け置く

5.ときどき空気に触れさせる

6.20分ほど漬け染めしたら完成

 

残った染液をいただき自宅で羽二重を染めてみました。

が、事前に先生に言われた通り、藍には染まりませんでした。

出来上がりは薄い黄緑。ヒスイのような美しさです。

 

 

染める手順

1.繭を不織布のゴミネットに入れ水に浸しておく(しっかり湿らしておく)

2.糞を出汁パック(お茶パックでもOK)に入れる

3.鍋に水に入れ40℃くらいになるまで温める

4.温まったお湯に2. の糞を入れ色を出す

5.1の繭を入れ少しずつ温度を上げ煮染めする

6.沸騰したら火を弱め20分ほどクツクツ煮る

7.20分経ったら火を止め、そのままの状態で冷ます


※冷ますときに色が染み込むので、しっかり時間をかけ冷ます。
※半日置くくらいの時間の余裕があるとよりベスト。

8.軽く水ですすぎしっかり絞る

9.媒染液に漬ける【30分】※下記で説明

10.媒染液から取り出し水ですすいだ後、しっかり絞る

11.染液を温め直し40℃になったら繭をもう一度入れる

12.ゆっくり温度を上げていき、沸騰したら火を止める

13.放冷(しっかり冷ます)

14.しっかり水ですすぎ、水を絞る

15.タオルなどで水気を取り干す

 

 

媒染

媒染は、染料と繊維とをしっかり定着させる大事な工程です。

また媒染に何を使うかで仕上がりの色が異なります。

これらは同じ染料で染めたもの。媒染液を変えただけです。

左は生ミョウバンのアルミ媒染
右は木酢酸鉄の鉄媒染

鉄が黒っぽく仕上がるのはなんとなくイメージ出来ますね。

 

生ミョウバンも木酢酸鉄も染料店で購入できます。

ミョウバンでも焼ミョウバンはドラッグストアやスーパーで購入できるので、より手軽に染めるなら焼ミョウバンがおすすめです。

 

媒染剤には主に鉄、アルミニウム、銅があります。

家庭でよく使われるミョウバンはアルミニウムに当たります。

 

鉄媒染

木酢酸鉄
硫化第一鉄
酸化第二鉄

黒っぽい暗い色に染まる

 

アルミ媒染

焼ミョウバン
生ミョウバン
酢酸アルミ

暖色系の色に染まる

 

銅媒染

酢酸銅
硫酸銅

茶系の色に染まる

 

酸媒染

酢酸
クエン酸

 

アルカリ媒染

炭酸ナトリウム
重曹

 

媒染剤を購入できる場所

染料を取り扱う専門の材料店で購入できます。

私が利用したことのあるお店は、田中直染料店です。たくさん取り揃えがあるので、一度のぞいてみてください。

 

 

媒染に必要な道具

デジタルスケール:小数点一位を図れるもの
金属性の小さなボウル:(ステンレス、ホーロー製)媒染剤をお湯で溶かすのに使う
マドラーまたは割りばし:媒染剤とお湯を混ぜるため
大きな金属製のボウル:媒染液を入れ置くもの(あとで繭や生地をいれ浸しておく)
好みの媒染剤

 

 

媒染の手順

媒染剤は水に薄めて使います。

媒染剤により濃度は異なります。説明書をしっかり確認し薄めてください。

 

媒染剤の準備

今回のワークショップでは生ミョウバンと木酢酸鉄を使用。

生ミョウバン:染めるものの10%
木酢酸鉄:染めるものの5%

繭の総量は61gだったので、

生ミョウバン:約6g
木酢酸鉄:約3g

を準備しました。

 

水を入れ媒染液を作り漬け置く

媒染剤を少量のお湯に溶かし、染めたいものが浸るほどの水を足します。

そこへ水洗いした繭を入れ、20~30分ほど漬けて置く。

アルミ媒染

鉄媒染

 

水洗いする

しっかり水洗いしたらもう一度染める。

※媒染で終了すると、媒染剤の鉄分が繊維に残りやすく染め上がりの色に影響するので、「染め」で終了するようにする。

 

最後に

何を使い染めるかによって、より染まりやすい繊維が異なるようです。

草木染は絹との相性が良い印象。アボカド染めは木綿によく染まるのだとか。

染めの世界はとても深い。

ワークショップに参加しただけでなく、自宅でも何度か染めたことがある身としてはつくづくそう感じました。

繊維×染料×媒染

でどのような仕上がりになるのか。とても未知な世界に感じられます。

 

いろいろな組み合わせでナチュラルでオリジナルの色を楽しんでみてください。