センスも技術も磨かれる

以前個展を開催したとき、「着物を触ってなんの生地かすぐにわかるの?」と尋ねられたことがあります。

だいたいわかるけど、今では技術も向上しており、化繊も絹っぽいものがたくさんあるんですよね。
だから、よくわからないこともある。柄が付いていない場合、(大人の視力のため)表裏がわかりづらいことの方が多い、と答えたら…

これ

↓↓↓

ディスプレイの紬反物を触って確かめ始める来場者さま。

わかんない〜〜!!!の連発。

 

そうか…
そうなのか…

なんの気無しにやっていたけど、人によってはものすごい知識と感覚なのかも知れない。

 

いつの間にか身につけてた知識や感覚、ノウハウが積もりに積もってたことに、こうしてお客様から気づかされることが多々。

苦もなくできることは才能であって、特技でもあったする。

こんな話をするときに思い出すのが、TV番組で見た「瞬殺で四つ葉のクローバーを見つける女子」のこと。
クローバーを探す素振りは一切なく、呼ばれているかのように見つける。
そんな姿を目の当たりにしたリポーターは「なぜ分かるの?」と不思議そう。
当の本人は「分からないことが分からない」らしく、吸い寄せられるように見つけられることが当然のことのように話していた。

とても印象的な話で、非常に興味深いなと見ていました。

 

私で言えば「色合わせ」が当てはまると思う。

「こんなにたくさんの色をどうやって組み合わせてるの?どの色をどのように使おうって決めているの?」とたくさん質問を頂きます。

私は色に関する勉強はしているけれど、理論や知識ではなく全て”感覚”でやっています。
それは自然にできることで特技なのだと、何年も経て理解するようになりました。

とはいっても、時にはとんでもない組み合わせになり「失敗した」と感じる事もある。
そのときは、どこがどう不快なのかをじっくり観察し調整する。
それでも駄目なときは、いったん下地材を塗り新たに着彩する。

そんな繰り返しで、失敗率はぐんと減り、一回で納得いくものに仕上げられるようになった。

自然とできることは、先天的な才能も少しはあるけれど、ほとんどが経験と努力が関わってくる。

 

たくさんの色をうまくまとめる方法 
色の見え方 ~4つの超基本~

センスも同じことで、最初の頃に作ったものは目を覆いたくなるほどやばいのがゴロゴロしている。
でも、やればやるほどセンスも磨かれていく。

ギターやベースなどの楽器と同じように、練習すればするほど上達しアレンジを効かせられるようになる。

 

自分にはセンスがない

と良く言われますが、そのたびに

センスは磨かれるものだから、やりたいと思ったらまずはやってみる。
今後もやりたいと思ったのなら、やり続けること。
するといつの間にかセンスは磨かれている。
1年後、遙かに上達しているかも知れない。
それを信じて、日々楽しみながらチャレンジしてみて。

と伝えています。

センスがない、、という一言で諦めてしまうのはもったいない。

やり続けることで、センスはもちろん、まつわる知識も深まるし想いも強くなる。
私は、当初「袷」の意味すら知らなかったからね。

大丈夫。

まずはやること。
そしてやり続けること。

そうすれば新たな道が開かれます。