【伝統的工芸品】Vol.1 首里織

沖縄は「工芸の島」あるいは「工芸の宝庫」と呼ばれるほど、数多くの伝統工芸が存在します。その中には、経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」も含まれています。

伝統的工芸品とは

「伝統的工芸品」とは、全国各地で受け継がれてきた工芸品のうち、一定の要件を満たし、経済産業大臣によって指定されたものを指します。2024年10月17日現在、243品目が登録されており、登録された工芸品には「伝統マーク」が付与され、信頼の証となっています。

伝統マーク

沖縄では全16品目が登録。内、13品目が染めや織りです。

  • 首里織(那覇市など)
  • 琉球びんがた(那覇市など)
  • 琉球絣(南風原町、那覇市など)
  • 喜如嘉の芭蕉布(大宜味村)
  • 知花花織(沖縄市)
  • 南風原花織(南風原町)
  • 読谷山花織(読谷村)
  • 読谷山ミンサー(読谷村)
  • 久米島紬(久米島町など)
  • 宮古上布(宮古島市など)
  • 八重山上布(石垣市、竹富町)
  • 八重山ミンサー(竹富町、石垣市)
  • 与那国織(与那国町)

染め・織り以外の登録品目は

  • 壺屋焼(那覇市など)
  • 琉球漆器(那覇市など)
  • 三線(那覇市など)

 

首里織とは

首里織は、沖縄を代表する伝統的な織物のひとつです。琉球王国が東南アジアや中国などと盛んに交易を行っていた14~15世紀ごろ、各国から優れた織の技術を学びました。そうして培われた技術や知識に、沖縄の人々の努力が重ねられ、やがて沖縄の気候や風土に適した独自の織物へと発展していきました。

首里王府の城下町として栄えた首里で織られた首里織は、王府の貴族や士族といった身分の高い人々のために織られ、沖縄の織物の中でも最も格式の高いものとして位置づけられています。

首里織は分業制ではなく、一人の職人が全ての工程を手作業で担うため、膨大な時間と根気を要する貴重な織物です。

 

首里織の現状

  • 担い手には恵まれているほう。無名なところは後継者難。
  • 現在、20~80代の方が受け継いでいる。
  • 首里染色館suikaraが職人に向け道具の貸出しをすることもある。新規後継者には負担が少なくて済む。
  • 沖縄では養蚕はされていないので、全国の絹糸を使う。特に群馬産。(日本全国で助け合い精神)
  • 植物の繊維糸(芭蕉、苧麻)でも作られるが、絹糸が中心。

 

首里織の種類

首里織には絣織物と紋織物があり、主に花織花倉織道屯織ミンサーの5種をさします。

 

首里織の原材料

首里織の原材料には木綿芭蕉などの糸が用いられます。現在、沖縄では養蚕が行われていないため、日本各地から高品質の絹糸を取り寄せており、特に群馬産の絹糸が多く使われています。

染料には天然染料が用いられ、代表的なものに琉球藍福木車輪梅(テカチ)があります。とりわけ琉球藍は、首里織だけでなく芭蕉布など他の伝統工芸品にも広く使われています。

 

王家、貴族専用の花倉織と道屯織

首里織には、さまざまな技法と特徴があります。その中でも花倉織や道屯織は王家や貴族専用とされ、首里でしか織られない特別な織物でした。

花倉織は、首里織の中でも最も格式の高い織物で、王妃や王女が夏に着用した衣装です。紅型の上に羽織るように着られ、花織と絽を組み合わせた独特の技法が特徴です。特に市松模様のように織られることが多く見られます。

花倉織

花織とは「浮き織」の一種で、経糸または緯糸を浮かせて織ることで、小さな四角の点を花のように表現したものです。首里織の花織には、次の4種類があります。

  • 両面浮花織:表は緯糸、裏は経糸が浮き出て両面が使える。
  • 手花織:色を出す部分だけ糸を渡す。斜めに糸を走らせることもでき、緻密な模様表現が可能。
  • 緯浮花織:緯糸を浮かせて模様を出す。
  • 経浮花織:経糸を浮かせて模様を出す。

 

一方、道屯織は、部分的に経糸の密度を高め、その部分を立体的に見せる技法です。通常は2本で組むところを4本に、時には8本にすることもあります。全体を高密度に織ったものは「総道屯織」と呼ばれ、主に男性用の官衣に用いられました。現在では着尺帯や小物類に使用されています。

naomaria
naomaria

花倉織も道屯織も、いずれも先染めの紋織物です。先染めとは、布に織り上げる前の糸の段階で染め、その後に織り上げる技法を指します。

※各種参考写真はこちら(那覇伝統織物事業協同組合)でご覧いただけます。

 

首里絣

首里絣には、手縞綾の中諸取切の三種があります。

  • 手縞(ティジマ):経緯の縞の中に絣が入った織り方。
  • 綾の中(アヤヌナーカー):綾=縞。経縞の中に絣柄を入れたもの。
  • 諸取切(ムルドゥッチリ):首里絣の代表で沖縄独特の手法。

※各種参考写真はこちら(那覇伝統織物事業協同組合)でご覧いただけます。

 

首里ミンサー

首里ミンサーは、変化平織の一種で、畝織と両面浮花織を組み合わせて首里で発展した織物です。「ミン」は中国語で「綿」を、「サー」は「狭い」を意味するとされます。つまり「幅の狭い綿の織物」という意味であり、「綿狭帯」と呼ばれる小幅帯を指すものと伝えられています。

naomaria
naomaria

畝傍織とは、緯糸を引きそろえて太く織ったもの。

伝統的なミンサーは、経糸に赤糸を用い、白色のぐーしばな(花織の経浮き)が施されたものを指します。現在ではその形式にとらわれず、自由なデザインで織られるようになっています。

柄の代表的なものに「4・5・4(四角が4つ・5つ・4つ並ぶ模様)」があり、古典的な意匠とされています。また、5個の四角が1つだけ配置されたタイプも見られます。

※参考写真はこちら(那覇伝統織物事業協同組合)でご覧いただけます。

 

首里織の制作工程

  1. 意匠設計:色やデザインを考え、必要な糸量や染料を決める。
  2. 花綜絖(そうこう)作成:デザインごとに異なる花綜絖を作る。
  3. 染色(経糸・緯糸):絹糸の不純物を取り除いた後(精錬)、糸を染める。
  4. 糸繰り:座繰り器を使い、木枠に糸を巻き取っていく。
  5. 整経:経糸に必要な長さと本数をとっていく。
  6. 仮筬(おさ)通し:仮筬に経糸を通す。
  7. 経巻き:仮筬通しした経糸を一定の張力で巻き取る。
  8. 地綜絖通し:経糸を綜絖に通す。
  9. 花綜絖通し:紋様に合わせた図案通りに経糸を通す。
  10. 本筬通し:一本ずつ右側から筬に糸を通していく。
  11. 織り付け:経糸をすべて通し終えたら、張力を整え織機にセットする。
  12. 製織:図案通りに織っていく。織りあがったら織機から外す。
  13. 洗い張り:経糸のノリ落としと、布目を整えるためにぬるま湯で洗い干し乾かす。
  14. 検査:沖縄県織物検査規格に基づき、基準検査をする。

5. 染色工程

※各種参考写真はこちら(那覇伝統織物事業協同組合)でご覧いただけます。

 

首里織を学べるところ

首里染色館suikara

【所在地】903-0812 那覇市首里当蔵町2-16
【TEL】098-917-6030
【開 館】10:30~18:00
【休館日】火曜日・12月31日・1月1日・1月2日・ウークイ(旧盆最終日)
【詳 細】ホームページ

 

参考資料

KOGEI JAPAN
那覇伝統織物事業協同組合

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