一枚の着物から何をどれだけ作れるか? ⑤裂織

昔から日本にある着物のアップサイクルに「裂織」があります。

裂織とは、古い布や着物などを裂いて、再利用して織り込む技法です。
日本の伝統的な織物技法で、特に着物の生地をリサイクルして新しい布を作ることが特徴です。
この技法は、使われなくなった着物や布を再利用することで、新たな価値を生み出し、環境への配慮や持続可能性を意識したものとされています。

『昔からある着物アップサイクル「裂織」を初体験』

裂織では、布を手で裂いて細い糸状にし、それを織り込んで新しい布を作り出します。
私はロータリーカッターを用いて細長くカットしています。

色や模様、素材が異なる布を組み合わせて独自のテクスチャーやデザインが生まれ、温かみのある、ユニークな仕上がりになります。
歴史的には、裂織は衣類や日常的な用品(袋や敷物など)を作るために行われていましたが、現代ではアートやファッションの一部としても活用されています。

 

裂布をつくる

裂織を始める前にまずは細長い生地を準備します。
先ほども説明したとおり、生地を細長くカットして緯糸の代わりになる裂布を用意します。

生地の厚さやしなやかさなどにもよりますが、8mm幅くらいが良いと言われています。
私はカッティングマットをメモリ代わりに使うため、8mmでは都合が悪く、だいたい1cm幅でカットしています。

ロータリーカッターを使う場合は、金属製の定規を使うと良いです。
プラスティック製の定規では、刃で定規を削ってしまいます。

また生地は1本1本カットしても良いのですが、それでは裂布を巻くときや織るときに一つの手間が増えてしまい時間がかかってしまいます。
七夕飾りの提灯のように、端まで切り落とさず、途中までカットします。
このとき二つ折りにして輪側からカットしていくと後の作業がやりやすいです。

言葉では説明しにくいので、図解を載せます。
こちらを参考にご自身のやりやすい方法で裂布をご準備下さい。

これから織りが始まりますが、織りに関しては専門でやっていらっしゃる方の動画などを参考になさってください。

 

裂布は裂き織りだけじゃない

裂織をするために細長くカットした裂布は、織りだけではなく編み物のように編むこともできます。

何を編みたいかにもよりますが、1cm幅は太めの毛糸になるのかな?と思います。
私は編み物をしないためハッキリと言えません。
編み物を得意としている方なら、何度かやっていくうちに、ご自分のお好みの裂布の幅が見出せるでしょう。

 

経糸の色で仕上がりの雰囲気が変わる

裂織に限らず織物をやられている方なら当然の知識でしょうが、経糸の色が変わるだけで、驚くほど仕上がりの印象が変わります。

上が青色、下が白色の経糸を使っています。

裂布の一番目立つ色に近い青色を経糸に使った上の作品は、経糸が生地と同化しているため、より元の生地の雰囲気が伝わってきます。

下の作品は、経糸との白がフォグ(霧)のように生地に覆い被さっている印象を受けます。

このように、どんな色の経糸を使うかによって仕上がりの見た目を変えることができます。
初めはなかなかイメージが付きにくいと思います。
まずは同じ生地でいろいろな色の経糸で試してみたらいかがでしょう?

数色の経糸を張れば、一度で仕上がりの様子をチェックすることができますよ。

 

今回の作品

今回の「1枚の着物から何をどれだけ作れるか?」チャレンジでは、2つの裂き織り作品を作りました。

まず一つ目は、iPad用ポーチ。

衽1枚ほどで出来上がりました。

内布も同じ生地で作っています。
こうすることで、どのような生地を使い織られたかが一目瞭然です。

両サイドはバイアステープで簡単に仕上げています。
ただソーイングには慣れていないので粗が多いですが。。

次は、マット。

残りの衽と衿、掛け衿。
他作品を作ったときのハギレを使いどれだけの大きさのマットが作れるかチャレンジしてみました。

幅36cm、長さ82cmのなかなか大きめサイズのマットが完成しました。

これはこれで良いのですが、こちらもまた1枚の布として見立て新たに何か作ってみたいな、と思っています。
完成しましたら、またご紹介しますね。

 

インスタグラムでは今回の裂織作品を動画で紹介しています。
是非フォローをして続きを楽しんで頂けると嬉しいです。

 

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