これまで解いてきた着物は数知れず。
今は解きはお願いしているので、しばらく自分で解いてはいないんだけどね。
とは言っても、長年何十枚と自分で解いてきたよ。
そしていろいろな出来事に出くわしてきた。
例えばこちらの着物↓
着物を解くとこう↓なります。
見頃は一枚仕立て。解くの楽ちんでした。
所要時間1時間20分。
かなりのハイペース!
ご自分で仕立てられたお着物とあって解くのに手強かったけど、思いの外短時間で解けたよ。
胴裏と八掛も付いてたんだけどそれらは後回し。
一旦片付けてゆっくりしようと思ったらさ、何か黄色いものが椅子の上に転がってるの。
なんじゃろ?
と思ったら…
……
………
…………
まーーちーーばーーーりーーー!!!
しかも錆びまくってる!
ねーさん!事件です!レベルよ。
さすが自作。こういううっかりもあるんだね。
しかしこれ。
着る目的で購入してたらやばくない?
身体にチクリといってたかもしんないじゃん?
って多分ね、裾部分に落っこちてたと思う。
ご自分でお仕立てする方は気をつけてね!
せっかく綺麗にお仕立て出来ていても針が中に残ってたら台無しだから。
そしてこちら↓の着物を解いたときのこと。
解いている糸が途中で止まり引き抜けなくなった。
玉留めでもされているのか?と思ってその辺りを触ったら。。。
チクッ!
まさか、、、まさかね。。。
またそんなことが起こるわけないよね。
はい。。
そのまさかの「また」でした。
がっつり留まってます。
引き抜きにくかったけど、錆はほぼありませんでした。
そして今度は襦袢。襦袢も衿から解きます。
出ました↑
丸洗いした後に解いたからずぶ濡れ。通常は解いてから洗います。
こういうのが出てくるとワクワクする。
広げてみたら1985年の地元新聞だった。
ネバーエンディングストーリー。
小さい時テレビで見て、壮大でメルヘンでなんだか不思議な気持ちになったのを今でもよく覚えてる。
キン肉マンやらガンモやら…
懐かしのアニメの映画広告。
今じゃこの金額では軽自動車すら買えないんじゃない?
物価が上がってるのをよく知れる広告よね。
フォントにすら歴史を感じるわ。
着物って昔も今もお高いものだから、そう簡単に新調できなかったんだよね。
95になる叔母の話を聞いていてもそれを感じる。
だからこそ大切に何度も手を加えて大切に着続けたんだよね。
そのおかげでアンティーク並みの着物も綺麗な状態で手に入れることができる。
手をかけるにもプロがやれば確実だし早い。
でも持ってる着物全てをプロにお願いできるわけもなく。
昔、着物は日常着だったから尚更悉皆にお願いするだなんて贅沢だっただろうしね(あ、今も、か)。
そうなると自分で手を加えないといけないんだよね。
それぞれの考え方や工夫で穴を継いだり仕立て直したり、作り替えてみたり。
その創意工夫の痕跡が着物の中には潜んでる。
それを見るのがものすごく楽しい。
こういう思いでこんな工夫を施したんだ!
知恵がすごいなぁ〜!
ちょっとめんどくさがり屋さんだったんだなぁ〜
なんて想像が広がり、着物を通じてドキュメンタリーや映画を観ているような気持ちになる。
私にとってのエンタメの一つだね。
だから解きだけは自分でやってきた。
今は身体上の理由でお願いしているけどね。
660円で仕入れたアンティークな名古屋帯。
解いたら、見たことのない帯芯がでてきました!
よく見かける帯芯は三河木綿などの目の詰まった白い綿芯。
黄ばみがとんでもないんだけど、これタンパク質系の汚れ。汗です。
着用する毎にクリーニングに出してたらこんな汚れは残らないんだろうけど、コストがね。。
で、これ↓は。。。
なんぞや?
袋部分には和紙のようなモノがついていたよ↓
初めての遭遇。こういうとき妙に興奮する(笑)
これらを見てて改めて思った。
洋服や紙などのリサイクル品で帯芯作れるんじゃない?
めっちゃサスティナブルじゃん!
80年代と比べて8割以上も市場が縮小している着物業界。
こういうところに目を向けて再生をしてみたらどうなんだろ?
って言われなくても、もうやられている方がいらっしゃいますよね、きっと。。
着物を解く、というなんでもない作業に浪漫を感じるのは私だけかな?
着物の内側から感じる人の知恵と工夫、そして歴史と伝統は、私にとってなぜか心を潤す栄養みたいなもんなんです。
昔に思いを馳せることが頻繁にある私ならではの感覚かもしれないですね。
決して過去に生きてるわけじゃなく、肌が細胞が昔の空気感を渇望しているんだよね。
この感覚解る人いるかな?