古布を扱うなら責任もって最低限のマナーを

風のない晴天。こんな日は洗い張りがはかどる。

きれいな青空!とても気持ちが良い。
穏やかな気候は、それだけで気分が軽やかになる。
思いのほか日差しは強く、初夏っぽい感覚に陥ったけどね。

洗い張りとは

ほどいて洗った着物を、糊をつけて雨戸のような大きな板に張ったり、伸子を打って干すこと。

 

↓関連動画↓

両端に小さな針が付いている竹ひごのようなこの棒↓。
伸子(しんし)というのだけど、竹なのでしなりがありとっても丈夫!
のはずですが、簡単に折れてしまったり針が取れることもあります。
干す場所には限りがあるので、身頃&袖部分、衽&衿と分けてお洗濯。

こちらは身頃&袖バージョン。この後に、衽と衿を洗い張り。

この長さ!
それもそのはず。
身頃と袖だけで8m50cm超!!!

 

洗い張りじゃなくても着物は洗える

正直言うと、洗濯機で洗うこともできる。
脱水を1分ほどにし、しっかりしわを伸ばして干せばそれほど問題はない。
そこで終了できればね。

 

ただ、多くの場合アイロンをかけてきれいに仕上げないといけない。
しかもしっかり乾かせること
カビや匂いの原因になるからね。

このアイロンがけが大変なわけ。
8m超えている生地をアイロンかけるって結構な力仕事。
腕痛くなるし、肩痛くなるし、腰も痛くなる。

使う分だけの洗濯なら、何も大変な洗い張りしなくても良いけどね。
効率求めるなら一気に洗った方が◎。

しかも、洗濯機で洗った場合、洗いじわがきれいに取りきれるわけでもない。

しんどいだけで洗濯機を選択しても仕上がりの結果そんなんなら、最初からきれいにできる洗い張りをしたほうが遙かに効率的。

洗うだけで10~15分。
伸子を打つのが20~30分。
トータルでも1時間はいかない。(身頃&衽Ver.)

 

でも結局は人力が必要

洗濯機の場合、洗うのは機械がやってくれるけどアイロンがけはやはり人力。
このアイロンがけは余裕で1時間を超えます。

時間も短縮できてストレスのない仕上がりにできる洗い張り。

そりゃやるしかないでしょ?

楽ちん&きれい

こんなキラーワードがちらついたら、なんの迷いもなく洗い張りを選択するわ。私はね。

 

最初は伸子の打ち方に苦労するかも知れないけど、やってるうちに慣れてくるから。

いかに楽して作業をこなせるか。
そこを考えながらやるのも楽しいですよ。

 

洗い張りだと乾くのが早い

洗い張りで干した場合、広げた10分後には乾きはじめる。
特に晴天だとね。あっという間に乾いちゃう。

伸子打つ前に乾いちゃったらしわが残りやすいので、そんなときは水を少しずつかけながら伸子を手早く打っていくと良いですよ。

ド晴天にはやらない方がいいですけどね。生地にやさしくするためには。
褪色しちゃったら残念賞。ただ何時間も直射日光に当てるわけじゃないので許容範囲内。

 

洗ったら保管する

着物生地が乾いたら伸子を外し、張手から生地を外したら紙管に巻いて保存します。

▶『解き洗った着物生地をきれいに保管するのに使える100均アイテム

 

 

着物は思った以上に汚れている

着物は普段着の洋服とは違い、頻繁に洗われることがないので結構汚れてる。

それを洗わずそのまま使うって、、、

怖くない?!

どんな汚れが付いているのか分からないんだよ。

今は大丈夫と思っても、数年後には虫食いの原因となって穴だらけかもよ。
カビるかもしれないし、変な匂いを発するかも知れない。
しかもカルトナージュみたいにボンド使って接着とかさ、どんな化学反応を起こすか分からない。

 

自分用に作るならいいけど、ご依頼受けてお金を頂き制作するなら、最低限の”洗う”というクリーニングくらいしようよ、って話です。

 

古布を使った作家さんいろいろ知ってるけど、洗ってる人結構少なくてびっくりした。
正直超ドン引き。。。そんなもんなんです。

 

私は元々古着が苦手なので、自分でしっかり洗わないと扱いは無理。
だからこそ”洗う”っていうのは当然だし、最低限のマナーだと思ってる。
私みたいに古着が嫌いな人も居るわけだからさ。

なによりも洗ってきれいになると気分がいい。

 

お仕事で古布を使われるけど、洗ったことがないという方!

マジでそれはやめましょう。

自分の作品や商品を長く愛でて頂きたいなら、まずは洗濯からスタート!
丁寧に扱えば扱うほどクレームは減ります。